2015年9月発売、こぶしファクトリーの記念すべきメジャーデビュー曲。
もともと作っていた和メロのデモトラックを基に、構成を3コーラスに変形させ、よりロックな方向へと仕上げていきました。
詞のテーマは「初心忘るべからず」。
勝負事、恋愛、仕事など、長く続けていくうちにどうしても薄れていってしまうのが初心だと思います。
デビューシングル1曲目でこのテーマを、しかも四股を踏みながら歌った彼女達は、きっと何年経ってもこのことを胸に刻み続けることでしょう。
僕はこぶしの皆さんのことを、歳は違えど、勝手に「同期」だと思っています。
2015年にデビューした同じ新人として、この心構えをいつまでも大切にしましょうね。
そしてお互いに「価値あるものを生み続ける」人になれるよう、コツコツ研鑽を積んでいきましょう!
星部ショウ
アルバムのジャケットが「弓道」で決定したということで、急遽作った楽曲。
「テーマはズバリ弓道。ミディアムテンポ、6/8拍子系で青春を感じさせる楽曲で!」という具体的な方向性を軸に作っていきました。
アコギを弾きながら詞も同時進行で考えました。
歌の中に登場する、ストイックだけど温かみのある先輩。
この人物像は、詞を書く1ヵ月程前に解散を発表した℃-uteをイメージしながら書いたものです。
弓道部ならぬ、ハロプロ部の先輩であるBerryz工房や℃-ute。
そんな彼女達に憧れて入部した後輩も沢山いると思います。
卒業していく先輩に負けないようにハロプロを盛り上げ、その思いを継承していく。
そんな先輩・後輩の心のやり取りをこの歌で表現しました。
この曲のタイトルである「残心」という言葉は、武道や芸道に用いられる言葉で、技を終えた後にも気を抜かず余韻を残すことを言います。
弓道における残心は、矢を射った後も心身ともに姿勢を保ち、目は矢が当たった場所を見据えること。
人生の様々な局面において大事な心構えだと思いますし、日本人のDNAに宿る独特の美学だと思います。
こぶしファクトリーはデビュー曲もそうでしたが、硬派なタイトルの曲もポップに歌うことのできる稀有なアイドルだと思っています。
余談ですが、イントロのブルースハープは星部が吹かせて頂きました。
星部ショウ
2016年7月末、リオオリンピック直前に発売された3rdシングル。
「サンバ風楽曲ではなく、本場のサンバで!」という方向性に決まったので、まず本場ブラジルのサンバを研究しました。
リズムやコード感などを研究して気づいたことは、今まで僕が認識していた「サンバ」は西洋のラテン音楽であったということ。
本場ブラジルのサンバは、アフリカン音楽がルーツとなっておりラテン音楽とは、使う楽器もビートもコード進行も似て非なるものでした。
ここに気づいてからは比較的すんなりと曲が出来ました。
詞は思い切りオリンピックのことを歌っていますが、メッセージの核は「どんな分野でも良い、一流を目指そう」ということです。
その道のプロ、一流を極める人達はどの分野でもカッコいいですし、本当に素敵です。
星部ショウ
2016年2月発売の2ndシングル。
この曲は「世界中の人が知っている名曲をオマージュしよう」という明確なテーマの基、作り始めました。
メロディーに関しては、Aメロの分かりやすいキメ部分と、Bメロ後半からサビにかけてのアーバンなメロ部分とのバランスが上手くいったかなと思います。
この曲の詞は、特に仕事や人生に対する不変の真理であったり、自分への戒めであったりします。
「そんな直ぐに結果は出ない」「やったことは取り消せない」
生きていれば誰もが一度は直面する真実ではないでしょうか。
自分の過去や運命を呪うのではなく、より良い未来を想像しながら生きよう。
そして辛かった過去も、思い出話や未来の笑い話へ変えていこう。
そんなタフなメッセージを力強く歌うことの出来る応援団のようなアイドルであって欲しいなと、こぶしファクトリーを見ていて思います。
星部ショウ
「こぶしファクトリーってどんなグループ?」
そんな問いに応えられるような、グループの名刺代わりとなるような楽曲を、と思い制作しました。
楽曲は70年代フォークをベースにしながらも、童謡や唱歌のような懐かしい雰囲気を醸し出すためメジャー6th系のメロディーを散りばめています。
また全体的にポエトリーリーディングのように聴かせるため、音符を多めに配置しました。
言葉数多めに語るように歌う歌唱法というのは、歌詞のメッセージがストレートにリスナーへ伝わっていくもの。
ですので歌詞も飾らずシンプルに、普遍性を持たせたものにしました。
そして何より、早春に咲く真っ白な「辛夷の花」のイメージが、今のこぶしの皆さんにピッタリだなと思いながら書きました。
「さり気なくって 欠かせなくって そんな人になろう」
桜ほど派手ではないけれど、清く力強く真っ白な辛夷の花を日本中に咲かせていって欲しい。
一作家として心から、そう願っています。
またこの楽曲は初めて編曲の方もさせて頂きました。
タイトで切れ味の鋭い山内優さんのドラムス、図太く温かくタメ感が絶妙なスティング宮本さんのベース。
イントロの歪んだスライドギターと、高域がキラキラしたアコギの音色が、冬の乾いた空気感を出してくれました。
全編に渡って渋く泥臭い宮永治郎さんのエレキギターが響き渡ります、特に泣きのギターソロは必聴です。
アコギは、僭越ながら私星部が弾かせて頂きました。
百戦錬磨のミュージシャン達の素晴らしい演奏によって、想像していた何十倍も優しく熱い楽曲になりました。
また橋本慎さん、山尾正人さん、星部ショウの男性3人で重ねたバックコーラスも温かみがあって好きです。
70年代フォークからニューミュージックにかけての、あの時代感がこのバックコーラスで表現できたかなと思います。
このように編曲に携わるチャンスを頂けて光栄に思っております、ありがとうございます。
完成したMVも拝見しました。
冬枯れの街並を走るこぶしの皆さんの姿が印象的でした。
もうすぐそこまで来ているであろう春を探し、8人は走っているのでしょうか。
ラストシーンでの8人の笑顔。
その真っ直ぐな笑顔で、目の前にいるファンの皆さんを、そして日本中の皆さんを元気づけられるようなグループに成長していって欲しいと思います。
これからも、夢に向かって走り続けて下さい!
星部ショウ