星部が担当させていただきました、アルバム新曲のライナーノーツです。
今回も長い、長いねぇ~。
作詞・作曲を担当しました。
2017年春に、ディレクター陣と新曲のアイデア出しを兼ねた打ち合わせがありました。
その際出たアイデアの1つに、「コメディ要素のある1ワード連呼系の曲を作ろう」というものがありました。
具体例として挙がった曲はたしか、爆風スランプ「無理だ!」という曲だったような。。うろ覚えですが。
とにかく簡単で印象的な1ワードをひたすら叫ぶような曲を作ろうというお題をいただきました。
それで作った曲がこの「アツイ!」と、「誤爆~We Can’t Go Back~」という曲でした。
「アーツイツイツイ!」というワードも打ち合わせの段階で既に挙がっていたので「出来たも同然!」という感じでした。
僕の中で熱い音楽といえば、中学生の時にガッツリ聴いていたX JAPANだなと思ってメタル的なアレンジでいこうと決めてデモを提出。
2年の熟成期間を経て、2019年冬にBEYOOOOONDSの新曲として披露されました。
BEYOOOOONDSが歌うということが決まってから、イントロにピアノソロを入れたり間奏にセリフを入れたりしました。
歌詞についてはAメロの「アツイ」事柄の列挙が意外と苦戦しましたが、あとはノリノリに歌いながら書きました。
曲自体がメタルということで非常に熱いので、歌詞の内容は逆に熱くならないように心がけました。
難しいことは考えずとにかく「アーツイツイツイ!」と大声で叫ぶ曲ですね!
あとはとにかく振り付けや演出のカオス感ですよね。
メンバーの衣装が対(ツイ)になっていたり、謎の卓球少女だったり、ブロワーだったり、思い切りの良いヘッドバンキングだったり。
MVも衝撃的で、様々なオマージュが散りばめられていて楽しいです。
個人的には、X JAPAN「DAHLIA」のジャケットオマージュには胸がアツくなりました。
このMVのデモ段階のものを見せていただいたのですが、心から「これがそのままプレゼンを通過して欲しい!」と思いました。
かなり攻めたMVで心配していましたが、無事採用されて我が事のように嬉しかったです。
これはBEYOOOOONDSだからこそ成立した楽曲、演出、MVなのかなと思っています。
星部ショウ
作詞・作曲を担当しました。
2019年8月にヒャダインさんのラジオ番組「DAIV TO MUSIC」に出演させていただきました。
BEYOOOOONDSの1stシングルの話、自分の好きな音楽の話などをヒャダインさんとたくさん出来てすごく楽しかったです。
その帰り道にディレクターとBEYOOOOONDSアルバム曲について話していました。
ラジオ局が文化放送で最寄駅が浜松町駅、その駅前にある歩道橋の上での立ち話です。
CHICA#TETSU楽曲の構想を話す中で、ふと高輪ゲートウェイ駅の話になりました。
「高輪ゲートウェイって、中央フリーウェイみたいだよね。」という話から発展してこの曲が生まれました。
中央フリーウェイの歌詞に出てくる「右に見える競馬場 左はビール工場」というフレーズは入れたいねとか、
「高輪ゲートウェイ駅は建設中、私たちの恋も未完成」そんなフレーズも良いんじゃないかとか、
「一駅増えるから、その分一緒にいる時間も増えるね」とか。
まぁそこまでアイデアが出れば、「アツイ!」の時と同様に「出来たも同然!」状態になります。
曲の雰囲気は、昨今流行りのシティポップを意識した作りになっています。
「ゲートウェイ ゲートウェイ 高輪ゲートウェイ」のコーラスが、Paul McCartney & Stevie Wonder「Ebony and Ivory」のそれだったり。
Aメロのコード進行が「中央フリーウェイ」のそれだったり。
シティポップということで、基本メジャー7thやテンション系のおしゃれなコードで構成しています。
前作「都営大江戸線の六本木駅で抱きしめて」に引き続き、編曲は清水信之先生です。
70年代後期~80年代のシティポップの本家の方に拙作をアレンジしていただけるとは、本当に身に余る光栄です。
歌詞は、清水信之先生アレンジの名曲である稲垣潤一さん「クリスマスキャロルの頃には」を意識しています。
自分の中のユーミンを呼び覚まし、都会に生きる女子高生になったつもりで書きました。
山手線外回りだと「田町→高輪ゲートウェイ→品川→大崎」の順番で停車することになります。
そこで見える景色だったり、揺れ動く感情だったり、二人を待ち受けている未来だったりを描いてみました。
2番の「右に泉岳寺 左に巨大な折り紙の屋根」は、ラジオ出演後の帰りの山手線車内から見た光景です。
11月16日に行われた山手線の線路切替工事によって今はその光景を電車内から見ることが出来なくなってしまいました。
まぁファンタジックな歌の世界ですから、過去の風景をスケッチ出来たのなら良いかなと。
あと、一岡豆知識も毎度のことながら脈絡なく始まる感じが個人的には好きです。
いやーしかしながら、最初は戸惑ったCHICA#TETSUというユニット名も今では耳に馴染んでるもんなぁ。
「高輪ゲートウェイ」はまだ違和感ありますが、じきに馴染んでくるのでしょうね。
星部ショウ
作詞・作曲を担当しました。
2019年4月30日「BEYOOOOONDS 応援企画FCイベント~晩春の陣ZIN~」で彼女たちのメジャーデビューが発表されました。
当日は会場でイベントを拝見していて、本番終了後にメンバーと挨拶をさせていただきました。
その時に平井さん、小林さん、里吉さんが僕のところへ来て「どうか私たち3人の曲を書いてください!」と直談判してきました。
「私たちユニット名が無いんです!」「時々ファンの方からその他と呼ばれてしまうんです!」と半泣きで言われました(笑)
そんなことを直接言われては、作らない訳にはいきませんよ!
この曲は構想から形にするまで結構苦労しまして、一ヶ月弱かかりました。
コンセプトは「ディズニー映画のサントラに入ってそうなピアノ主体の曲で、デュエットソング的な音程差のあるメロディー」というものでした。
要所要所でテンポチェンジもあって、セリフも織り交ぜたミュージカル調の曲にしようと思いました。
平井さんの声が少年のような低めの声が魅力なので、中音域がしっかり出る小林さんと高音域が特徴的な里吉さんとの掛け合いがあったら面白そうだなと。
ディズニー映画のプリンスとプリンセスのデュエットソングのイメージで、音域を男性パートと女性パートに分けるような構成にしました。
ます曲の冒頭はバラード曲かなと思わせておいて、いきなり里吉さんの「Oh Please!」でテンポアップさせ雰囲気をガラッと変えました。
里吉さんにサビ前のセリフを任せたら良い感じになるだろうと目論んでいましたが、見事バッチリ良いテイクをいただきました。
間奏はピアノやダンススキルのアピールタイムで、その後の2番歌詞は3人が気持ちを込めて歌えるようなノンフィクションな内容にしました。
後半はさらにテンポアップして疾走感を出し、とにかく名前が欲しいことを強く訴えていただき、また再びしっとりパートへ。
ここで平井さんと里吉さんのセリフパートが出てきますが、これは宝塚の雰囲気を意識してもらいました。
ちなみに僕はここの平井さんのセリフ「名前。それは~」の部分を聴くたびに、声の雰囲気がバッチリすぎてニヤリとしてしまいます。
里吉さんとの声の対比が面白いですし、小林さんの「それはそれでオイシくない?」というお茶目なニュアンスもいい味出してます。
ちなみにこの曲は歌録りのディレクションをさせていただいたのですが、3人の歌割りがあらかじめ決まっている状態でレコーディングしました。
歌詞のこの部分は誰々のパートだということをイメージしながら作ったのはこの曲が初めてでした。
3人それぞれ声のキャラクターが違うので、すごく音楽的に楽しい曲に仕上がったなと思います。
星部ショウ
作曲を担当しました。
児玉雨子さん詞先の「眼鏡の男の子」スピンオフ曲で、タイトルから連想したスウィングジャズを意識して作りました。
主人公のお嬢様2人組の気品溢れるゴージャスな雰囲気は、ブロードウェイミュージカル「コーラスライン」を参考に。
この曲も歌録りディレクションをさせていただいたのですが、お嬢様の化けの皮が剥がれる間奏セリフパートを録る時は力が入りました。
島倉さんと岡村さんにはお淑やかな雰囲気から一転、ヤンキーのような凄みを出して欲しかったので結構頑張ってもらいました。
こちらの要求をしっかりと声で表現してくれて、非常にギャップのある良いテイクを頂けたかなと!
二人ともしっかり怖くなってくれました(笑)
Bメロを歌う小林さんと江口さんも、上品で切ない雰囲気が出ていて良いです。
あとはほぼ全編に渡って塩原奈美子さんと僕の混声四部コーラスが入っています。
細かいことですが間奏明けの「遅刻しなきゃ良かった」部分のコーラスだけ、怒りに打ち震えている感じを出すためにビブラート強めで歌っています。
良かったら僕たちのコーラスにも耳を傾けてみて下さい。
星部ショウ
作詞・作曲・編曲を担当しました。
2019年1月頃にディレクター陣と「今年は新元号になるから、その辺の曲もBEYOOOOONDSで書いてみようか」ということを話していました。
その数日後にゴールデンボンバーの皆さんから「新元号ソングを制作する」と前もって発表があったので、一旦この案はボツになりかけました。
でも話している中で「元年だったらイケるかな!?」という感じになり、「元年」をテーマに曲を作ることに。
その時に「だって元年なんだもん!」という決め台詞は談笑の中で既に出ていたと思います。
まずは曲先で2つくらい作り始めたのですが、歌詞がいまいち上手くハマらず。
ということで作戦変更、歌詞のプロットを先に作りそれをどういう曲調に落とし込んでいくかという詞先の作り方に変えました。
箇条書きで色々案を出す中にあったワードが「元年バンジージャンプ」でした。
思い切りの良さや勢いをつけなければバンジージャンプは出来ないし(と言っても僕は未経験)、ゴムが伸びる感じがビヨンビヨーンだしこれで行こうと。
ジャンルに関してはディレクター陣から「ジャイブ感のあるファンキーでソウルフルな曲調」と指定があり、現在の形になりました。
聴いていただければ分かる通り、割とわかりやすいオマージュが散りばめられています。
その中で個人的に好きなオマージュを1つだけ。
サビの「勢いとノリが大事」という部分のメロディーのリズム感にご注目を。
ご存知、EW&F「September」のアウトロ部分のブラスのリズム感と一緒です。
このブラスがとてもハッピーで大好きなので、サビのメロディーにそのワクワク感をプラスしたくてオマージュしました。
歌詞に関しては、BEYOOOOONDSらしくポジティブでハッピーな言葉を心がけました。
「勢いとノリが大事」「何したってアニバーサリー」「だって元年なんだもん!」というバカがつくほど前向きなワード。
これらをBEYOOOOONDSが歌うと、不思議と説得力を感じてしまいます。
あとは間奏部分のセリフパートは、我ながらよく「眼鏡の男の子」と繋げられたなーと自画自賛。
編曲に関してはやはり、笹本安詞さんのファンキーなベースと菊谷知樹さんのタイトなギターですね。
凄腕の生演奏が打ち込みの中に入るだけでも、やはりグルーブ感が出て全然印象が違ってきます。
ジャイブ感のある間奏部分などは特に、身体が自然とリズムを取ってしまいます。
この曲を聴いて「なんかわかんないけど、悩みとか不安とか全部大丈夫な気がしてきた!」という感じになっていただけたら幸いです。
星部ショウ
作曲を担当しました。
2018年10月頃に三浦徳子先生から超ハッピーな歌詞をいただき、それで僭越ながら曲を書かせていただきました。
お奉行様はもちろん、町娘や火消しなどのお江戸の風景が浮かぶような歌詞だったので、とにかく楽しいお祭りソングにしたいと思いました。
「それ!それ!」や「さあ!さあ!」の言葉も書かれていたので、すごくノリが伝わってきてスルッと完成しました。
三浦先生の歌詞はすごくリズミカルで音楽的、勝手にメロディーが引っ張られてくる感覚でした。
僕自身もそんな歌詞を書けるようになりたいと改めて思いました。
曲に関しては、「お江戸感のある4つ打ちダンスソング」「老若男女に親しみを持ってもらえるようなメロディー」ということを意識しました。
お江戸感とEDMの組み合わせは、温故知新という感じがして個人的に大好きです。
どこか「眼鏡の男の子」と通底している感じは、五音音階のメロディーだということが大きいと思います。
五音音階は童謡や唱歌にも多く用いられているため、どこか懐かしく人懐っこい印象になるメロディーです。
BEYOOOOONDSにはそんな雰囲気の曲がピッタリだなと改めて思います。
この曲も歌録りディレクションをさせていただきましたが、皆さんには特に「それ!それ!」などの掛け声を頑張ってもらいました。
「とにかくお祭り気分で元気ハツラツな掛け声」と、「和泉元彌さんのような狂言師風の掛け声」と2パターンもらいました。
CDではそれらニュアンス違いの掛け声を混ぜて使っています。
掛け声を録る中で、特に高瀬さんの声が一番シックリくるなと思いました。
いろんな声のニュアンスを持っているという印象で、これは恋愛奉行役も高瀬さんで行けるのではと思いました。
後日セリフパートのみのレコーディングを高瀬さんと清野さんにやってもらいました。
掛け合いの間(ま)が大事ということで、ブースに2人で入ってもらい同時に録りました。
リズムとか間もバッチリでしたし、特に高瀬さんの「恋愛奉行にお任せあれ!」の切れ味が抜群でしたね。
レコーディングもスムーズに終了しました。
ということで結果、底抜けに明るいお祭りソングになりました!
改めて僕は詞先で作る方が得意な気がしますし、その作業がすごく好きだなと思いました。
最近ではセルフ詞先で作ることも多くなってきました。
いろいろ試行錯誤して曲を書く手順を変えたりするのは、刺激的で新鮮です。
星部ショウ
作詞・作曲を担当しました。
アルバム曲がだんだんと出来上がっていく中で、「ラストを飾る壮大なバラードを作ろう」ということで一番最後に作った曲です。
曲名「伸びしろ ~Beyond the World~」で1曲、というお題をいただいた上で作り始めました。
まずはどんな方向性のバラードにしようかを決める時に、自分が一番好きで聴いてきたもので勝負したいと思いました。
僕が彼女たちと同じ年頃の時に本当によく聴いていたのが、Boyz II Menでした。
彼らの初期のバラード曲として有名な「End of the Road」は若々しく力強いゴスペル調の曲で、僕が中学生の時に毎日と言っていい程よく聴いていました。
そんな6/8拍子でゴスペル調のバラードにしたら面白いのではという発想で前半部分を作りました。
後半からはテンポアップしてガラッと雰囲気を変え、さらに熱く歌い上げるような構成になっています。
Boyz II Men曲にはよくあるのですが、曲の終盤で半音上へ転調しもっともっと歌の熱量を増していきます。
転調後の彼女たちの歌の掛け合いはすごく青春を感じて、胸がアツくなります。
歌詞に関しては、今の彼女たちが感じているであろう心の声を想像しながら作りました。
社会人1年目の時に感じる不安とか、出来ないことが多い自分への焦りみたいなものはきっとあるんだと思います。
そんな只中にいる彼女たちへの応援歌になればなと。
出来なかったことがふと出来るようになったり、自分がコンプレックスだと思っていた部分が実は最大の武器だということに気づかされたり。
社会や人との関わりの中で見つけていく宝物のような瞬間が、彼女たちにはまだまだ待ち受けていることでしょう。
BEYOOOOONDSという名前通り、変幻自在に形を変え、自分で決めつけている自分というものを飛び超えていって欲しいなと思います。
あと西田さんや山﨑さんのソロパート、抜けるような高音が爽快でまだまだ伸びしろを感じます。
セリフ部分も「眼鏡の男の子」などで培った演技力が存分に発揮されていると思います。
彼女たちの成長とともに、この曲ももっともっと成長していってほしいなと思います。
おわりに。
2019年12月2日にZepp DiverCityで行われたBEYOOOOONDS初の単独ライブを拝見しました。
あんなにも広い会場で緊張しながらも伸び伸びとパフォーマンスする彼女たちは、とても頼もしく見えました。
寸劇を挟みながら全曲通してつながりを感じる演出、それをやり切る彼女たち、そして大盛り上がりのファンの皆さん。
すごくポジティブな感情が心に残るライブショーだったと思います。
あのショーが出来るのなら、今度はあんなショーが良いのではないか。
あの曲が歌えるのなら、今度はあんな曲が良いのではないか。
制作陣にとっても刺激的なグループだと思います。
この勢いとノリで、さて次はどんなことをしようか。
星部ショウ